研究成果・技術情報

「第59回下水道研究発表会口頭発表部門最優秀賞」受賞

受賞名: 「第59回下水道研究発表会口頭発表部門最優秀賞」受賞
論文題目: 下水処理におけるマクロライド系抗生物質・ニューキノロン系抗菌薬の除去特性把握
受賞者: 流域水環境研究グループ 水質チーム 主任研究員 北村友一
流域水環境研究グループ 水質チーム 派遣職員 阿部翔太
流域水環境研究グループ 水質チーム 上席研究員 山下洋正
  
賞の概要:第59回下水道研究発表会 口頭発表部門

受賞日:令和4年10月21日


贈賞組織名:公益社団法人日本下水道協会


 同賞は、「下水道研究発表会」における「口頭発表部門」で発表されたうち、最も優れた研究発表に対して授与されるものです。

研究成果の概要:

 本研究は、主要研究「公共用水域における健康・生態リスクが懸念される化学物質の制御手法に関する研究(H28-R3)」に基づく成果です。下水処理場には人が服用し排出した医薬品が流入しており、処理水からも検出されています。医薬品の中には水生生物への悪影響を示すものもあり、医薬品の下水処理過程での除去を含めた挙動把握や水環境影響の評価が重要となっています。
 本研究では、使用量が大で下水中にも多く存在し、生物への作用も強いマクロライド系抗生物質・ニューキノロン系抗菌薬に着目し、服用後の代謝物も含め4物質を調査しました。実際の流入下水を用い、一般的な下水処理法である活性汚泥処理と嫌気好気ろ床処理工程について、除去特性の把握や生物影響の予測を行いました。通常の下水処理での除去率は50%以下と限定的で、生物影響の予測値もあまり減少しないこと、代謝物の存在割合や影響も重要であること、さらなる除去・影響低減には追加処理が求められること等を明らかにしました。
 今後は、本報告でも重要性が見出された、下水処理水中の残存医薬品の除去について、省エネ・低コストな技術の開発を進め、下水処理水の水質安全性を向上させることにより、下水放流先の水生生物保全や下水処理水の再利用の促進に貢献していきます。

  
賞状
賞状