研究成果・技術情報

「応用生態工学会第26回大会 優秀発表賞」受賞

受   賞   名: 「応用生態工学会第26回大会 優秀発表賞」
論文題目 : 全国109水系を対象とした水生昆虫類の種多様性と流量特性に関する大規模データ解析
受   賞   者: 流域水環境研究グループ 自然共生研究センター 専門研究員 岡本 聖矢 流域水環境研究グループ 自然共生研究センター 主任研究員 森 照貴

受賞日:令和5年9月21日

贈賞組織名:応用生態工学

賞の概要:

「本賞は,応用生態工学会第 26回大会において,一般の研究発表のうち,発表が優秀と認められた者に授与されるものである.

研究成果の概要:

河川生態系における流量変動は,その生態系を構成する生物群集とその生息場環境,河川内の物質循環に強く影響するため,河川生生物の種多様性にとって重要な要因の1つであると考えられている.この河川流量は,人間の水資源利用でも変化することから,世界的にも注目されている.加えて,世界的な気候変動による渇水の頻度増加や水需要の増加も懸念されている.こうした背景下,生物多様性を考慮した河川管理を実施するためには各地域において,取水制限に至るほどの渇水と種多様性とがどのような関係があるかを把握する必要がある.本研究では,国交省が公開する「河川水辺の国勢調査」,「水文水質データベース」,「水資源白書」から全国に109ある一級水系の流量と水生昆虫の分布に関する20年分のデータを取得し,整理した.この大規模データを基に,取水制限の特徴を解析したところ,特に四国・中部・関東エリアの水系(e.g., 吉野川, 利根川)で取水制限が多く,特に夏季に増加することを示した.また,流量特性と水生昆虫の分布の関係性について解析した結果,取水制限にまで至る流量低下は水生昆虫に対して基本的には負の影響があることを示した.

賞状
賞状