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1.観察室内から見た実験水路 |
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2.奥に見えるのが循環式実験水路 |
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3.護岸の環境を操作した実験 |
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4.ワンドの重要性を説明しました |
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5.護岸の色について研究しています |
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6.生物を用いた登坂実験を行いました
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7.効果的な土砂還元の方法とは? |
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自然共生川づくりを推進している岐阜県自然共生工法研究会(参加者29名)が、当センターに隣接する水辺共生体験館実験水路・当センターの実験河川にて見学会を行いました。当センターの研究者が実施した、あるいは実施中の研究・実験について、各研究者が説明をしました。
人為的に流量を変えることができる水辺共生体験館実験水路にて、「速い流れや遅い流れを実験的に用意した時に、魚が緩やかな流れをどのように使うのか」を調べています。今後、本格的に実験を行い、データを蓄積していく予定です。
濁水が川底の付着藻類に及ぼす影響を評価するために、循環式実験水路を製作し、洪水時の川底を再現し、実験を行いました。実験では、アユや水生昆虫などの餌資源として重要な付着藻類、濁水(無機物量)および流速の関係を調べました。今後は、さらに知見を積み重ね、ダムの堆砂対策の運用方法に対しての提言をまとめる予定です。
これまで当センターが実施した調査では、コンクリート護岸と自然護岸を比較すると、コンクリート護岸に比べて自然河岸では、湿潤度が高く、温度変動が少ないことが確認されました。そこで、実験河川に仮設護岸を造成し、生物の生息に影響する要因を「湿潤度」と「温度変動」に絞り操作実験を行っています。
ワンドは、本川とつながっている水溜まりのようなもので、水の流れが無く、よどんでいることが特徴です。ワンドには、魚類の産卵場所や仔稚魚の生育場所、洪水時における魚類の避難場所、イシガイ類などの淡水二枚貝の生息場所などとしての機能があります。このため、ワンドは、河川環境にとって重要な場所であり、保全・再生が必要です。
当センターでは、護岸の景観(色)に着目した研究を行っています。「護岸の色の違いが人に与える印象」を調査し、河川の景観や自然環境の保全・回復に関する知見を得ることを目的とし、実験河川見学者にアンケート調査を実施しています。今回の参加者にもアンケート調査を実施しました。別途、虫などの生息量・種についても調査を行っています。
護岸の機能の一つとして、水域と陸域の両方に生息する生物のための移動経路としての機能が挙げられます。そこで、ヌマガエル、クサガメおよびサワガニを用いた登坂実験を行いましたので、その結果を説明しました。生物が登坂するためには、適度な凹凸が必要であり、緩勾配が望ましい場合があることが分かりました。
河床環境の変化を適切に評価するため、実験河川への砂供給量を制御した実験を行いました。実験河川Bを砂供給有り、実験河川Cを砂供給無しとし、それぞれ細粒化河川、粗粒化河川と見立てて、流量を変化させて、魚類等の餌資源となる付着藻類がどの程度生産されるか調べました。
以上、実験・研究が実施中のものも含まれていますが、多自然川づくりの計画・設計・施工・維持管理段階において求められている技術を開発しています。今後研究を進め、技術的な支援を行い、より質の高い多自然川づくりが推進されていくことを期待しています。
(上野 公彦)
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