「第49回地盤工学研究発表会」 優秀論文発表者賞
背面盛土の違いが橋台及び杭基礎の地震時挙動に与える影響
2014年11月28日に構造物メンテナンス研究センターの篠原聖二主任研究員が、公益社団法人地盤工学会より、「第49回地盤工学研究発表会(開催は2014年7月15日~17日)」の優秀論文発表者賞を受賞しました。
記
題目名:背面盛土の違いが橋台及び杭基礎の地震時挙動に与える影響
執筆者:篠原 聖二(1),藤原 慎八(2),西田 秀明(3),石田 雅博(4)
(1) 構造物メンテナンス研究センター 主任研究員/
(2) 同センター 交流研究員/
(3) 同センター 主任研究員(現国土交通省国土技術政策総合研究所)/
(4) 同センター 上席研究員
(2) 同センター 交流研究員/
(3) 同センター 主任研究員(現国土交通省国土技術政策総合研究所)/
(4) 同センター 上席研究員
概要:
常時の土圧軽減や側方流動対策を目的として橋台の背面に軽量盛土として発泡スチロール(以下,EPSという)が配置される事例があるが,地震時にEPSが橋台や杭基礎の挙動に与える影響については明らかになっていない。そこで本研究では,橋台の背面盛土がない場合,EPSの場合,通常の盛土の場合の3ケースを対象に,遠心力模型実験を行い,背面盛土の違いが橋台及び杭基礎の地震時挙動に与える影響について検討を行った。
本実験では図-1に示すように,橋台,EPS,杭および上部構造をモデル化し,基礎地盤は軟弱粘土層を対象として50Gの遠心加速場において圧密,加振を行った。実験模型は幅1.5m×高さ0.5m×奥行き0.15m(内寸法)の鋼製剛土槽内に縮尺1/50でモデル化して作製した。橋台模型は背面にEPSを有する橋台の施工事例を参考に図-2に示す高さ8.2mの逆T型橋台を想定し,躯体基部の曲げ剛性が想定した橋台と等価となるようアルミ材を成型し作製した。
入力地震動については,道路橋示方書V編で規定されるレベル2地震動に相当する地震波として,TypeIIのI種地盤の地表面で定義された地震波(II-I-1)を用いた。実験では,表-1に示すように背面盛土が無い場合(Case1),EPSの場合(Case2),通常の盛土の場合(Case3)を対象に載荷を行った。
図-3より,各ケースの慣性力と土圧によって生じる最大曲げモーメントにおいて、主働方向,受働方向いずれも各ケースに明確な差異はみられなかった。図-4より,杭基礎の曲げひずみが最大および最小を示したそれぞれの時刻において,Case1~3の杭基礎の曲げひずみ分布に明確な違いは認められなかった。
本検討により,得られた知見を以下に示す。
- 橋台の基部に発生する曲げモーメントについては,背面盛土の違いによる土圧の影響よりも,上部構造や橋台躯体の慣性力の影響が大きい。
- 杭基礎についても橋台同様に,背面盛土の違いが杭基礎の地震時挙動に与える影響は本実験の条件においては小さい。




