「ELR2017 in 名古屋 優秀ポスター賞」
受賞名:「ELR2017 in 名古屋 優秀ポスター賞」 |
タイトル:河川における鳥類の保全優先エリアを探す-河川水辺の国勢調査を利用した検討- |
著者:田和 康太(国立研究開発法人土木研究所 水環境研究グループ 河川生態チーム 専門研究員) 森 照貴(国立研究開発法人土木研究所 自然共生研究センター 研究員) 永山 滋也(岐阜大学) 片桐 浩司(秋田県立秋田中央高等学校) 萱場 祐一(国立研究開発法人土木研究所 水環境研究グループ 河川生態チーム 上席研究員) |
関連する研究課題:「河川景観・生物の生育・生息場に着目した空間管理技術の開発」 (H28-H33 主要研究) |

概要:
河川環境は多種の鳥類にとって重要な生息および繁殖場所としての役割を有している。
しかし、近年における河川環境の改変によって、多種の鳥類の生息域が限定されている。そこで、本研究では、河川水辺の国勢調査(以下、水国)における鳥類データを用い、
特に稀少種の多い猛禽類と水鳥類に着目して河川域の植生や水域と鳥類との関係性を明らかにするため、解析を試みた。
解析対象としたのは鬼怒川であり、鳥類データについては2007年の5月および2月の種数データ(96地点ごとのセンサスデータ)、河道内環境データについては、2006年10月に実施された環境基図データをそれぞれ用いた。解析方法には、条件付推測樹木法およびランダムフォレスト法を用いて、視覚的な理解に務めた。
解析の結果、湿生草地や乾生草地が一定面積以上存在するスポットにおいて、記録される鳥類の種数が多かった。また、5月と2月の結果を比較すると、鳥類の種数が多い環境が季節ごとに異なっており、
これは夏鳥と冬鳥で種構成が大きく入れ替わることや、一年生草本が冬期に枯れることなどに起因するものと考えられた。さらに一定面積以上の畑地や水田などの農地も鳥類の種数に正の効果を与えていた。
以上をまとめると、鳥類の保全区抽出には、鳥類の季節的な種構成を考慮した年間単位での検討が必要であり、それらを踏まえた今後の展開として、河道内環境のみならず、河道外環境を含めた解析や、
セグメントごとの評価が重要だと推察された。