● 背景と目的
河川改修において、護岸にはコンクリートブロックがよく用いられてきました。その結果、自然河岸ではあまり見られない素材が表面に広く露出し、河川景観を悪化させています。このため、護岸を設置する際は、周囲の景観と調和させる必要があります。そこで、護岸がどのような色であれば、人は護岸が周囲の景観と調和していると感じるのかを知るために、アンケート調査を行いました。
● 方法
アンケート調査には、色が異なる往復石積を模したコンクリートブロック積擁壁を用いました。護岸の玉石の色を白色(明度8)、灰色(明度5.5)とした2タイプの護岸(写真1および2)について、周辺の景観に馴染んでいるかどうか、下記の内容で、114名に5段階評価していただきました。
1.よく馴染んでいる
2.まあまあ馴染んでいる
3.どちらとも言えない
4.あまり馴染んでいない
5.全く馴染んでいない
参考:明度の数値は、色の明るさを示しており、数値が大きいほど明るく、黒は明度0、白は明度10です。
● 結果と考察
5段階評価での回答の割合を図に示しました(図1)。白色(明度8)と灰色(明度5.5)を比較すると、白色は「全く馴染んでいない」「あまり馴染んでいない」とする答えが7割に達していたのに対し、灰色は「よく馴染んでいる」「まあまあ馴染んでいる」とする答えは7割程度でした。本アンケートは2種類の明度しか対象としていないため、この結果から適切な明度の値を設定することは難しいですが、灰色や黒色といった暗い色(明度6程度以下)であれば、概ね周囲の景観に馴染むと考えられます。また、護岸の表面に凹凸を付けると、護岸の人工的な印象を緩和する効果に加え、陰影により護岸全体の明度を下げる効果もあり、周囲の景観に、より馴染みやすくなると考えられます。
担当:上野 公彦、久米 学、萱場 祐一 |
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■写真1 アンケートに用いた護岸(近景) |
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■写真2 アンケートに用いた護岸(遠景) |
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■図1 明度の違いが護岸景観に与える影響 |
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