グラウンドアンカーの飛び出しによる第三者被害を予防する「飛出し防御装置」の開発
グラウンドアンカーは斜面の安定を目的として、写真1のように多くの場所で使用されています。グラウンドアンカーは図1に示したように、すべり崩壊が予見される不安定土塊を、鋼製のアンカー材に緊張力(引張力)を作用させて、すべり面に押さえつける仕組みになっています。もし、数本のアンカー材が破断しても斜面に直ちに変状が生じるわけではありませんが、破断したアンカー材が数100メートル先まで飛翔した事例があります。仮にそのようなことが起こっても道路利用者(通行者、車両)や近隣住民等の道路利用者、第三者への被害は確実に防止しなければなりません。
そこで、(国研)土木研究所は(国)三重大学、(合社)アンカーアセットマネジメント研究会と共同でグラウンドアンカーの飛び出しによる第三者被害を予防する目的で「グラウンドアンカーの飛出し防護構造」を開発しました。開発にあたっては、飛び出すアンカー材を確実に捕獲することは勿論のこと、急峻な切土のり面であっても装置の運搬が人力でおこなえるサイズ・重量であることや、現場(斜面)での取付作業が仮設足場等を必要とせず、ロープワーク(登山用ザイル)で作業が行えることなどを開発条件として装置の開発を行いました。
開発した飛出し防御装置は図2及び写真2に示したもので、飛び出そうとするアンカーをヘッド受け部(アンカーヘッド捕獲具)で捕獲し、摩擦シリンダーで飛出しエネルギーを吸収するものです。更に、ヘッド受け部(アンカーヘッド捕獲具)が変形することにより飛出しエネルギーを吸収し、大きく変形することにより、離れた道路上からでもアンカー材の破断が確認できるようにしました。
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(問い合わせ先 : 土木研究所 施工技術チーム)